施設には関係ない話ですが、建築の仕事に携わっているので建築のお話を少し。
十分な敷地にゆとりをもって家を建てられれば理想ですが、地代も高く、中々そのようなお家は建てられません。そんな事情から近年よく見る狭小住宅。
30坪ほどの土地に駐車場がギリギリ2台、そして3階建ての家が一般的かと思われます。
建売住宅の間取りを見て、介護従事者として私が思うことですが、一体この家にいくつまで住む気でいるんだろうなと。
1階にはお風呂に洗面所に玄関、2階にリビングの3階に居室。
お子様も小さく、お若いご年齢の方でしたらこちらの間取りでよろしいかと思われますが、お子様が成長されると同時に親世代は年を取ります。
少しずつ体のあちらこちらに不具合が出てくるのが50代から60代。
子供たちが成長し、それぞれ独立。残された夫婦で2階のリビングまでお買い物したお荷物を持っていくとか、3階の寝室から2階のトイレまで降りていくとか、冬の寒い日1階のお風呂場まで入りに行くとか。
そして35年ローンが完済したころ、大体60代から70代くらい。
階段の上り下りが苦痛となってくる今日この頃、1階にお部屋がないため、階段に手すりを付けてどうにか行ったり来たりしながら生活するも、ネット注文したお米やお水など、配達員は玄関まで入れてはくれるが、2階まで運んではくれない。
更に年月を重ねていくと、夫婦だけの生活は大変になります。外部から訪問介護や訪問入浴を入れて生活するも、生活のベースは2階、訪問入浴セットを2階に運んで入浴する。外出するにも女性の介護士では抱えきれず、生活プランでの買い物代行を依頼し、調理してもらう。3階の居室へ移動するのも自分ひとりでは難しいため、2階のリビングでほとんどの時間を過ごすようになる。
大げさに表現していますが、このような間取りでは実際に起こり得ることです。
これからご自宅の計画を立てる方。
狭くてもよいので、1階に居室を一間、必ず設けてくださいね。