独居の方のご相談について

近年、ペットと一緒でのご入居と、ご家族がいらっしゃらない方のご入居相談が増えてきています。

今回はご家族がいらっしゃらない方のご入居事情についてのお話です。

連れ合いがいない(離別、死別)、お子様がいない方(若しくは疎遠になってる方)は、認知性や本人の意思が確認できなくなった場合、甥姪やご兄弟など、ご本人以外に意思確認できるご身内がいればよいですが、治療法や財産管理などで対応に困るため、福祉施設などでは嫌煙するところが多く、施設に入りたいと思っても中々受け入れ先が見つからないのが現状です。

当施設もここ数年、このようなご相談が多くなっており、皆さん、本当にお困りなんだなと感じます。

お時間はかかるかもしれませんが、以下の事例を参考にし、施設相談を続けてくださいね。

【A様 90歳離婚歴あり、子供なしの女性】

他県出身のこちらの女性はお独り住まいで長年過ごされていました。

圧迫骨折をし、独りでの生活に不安を覚え、施設入居を考えるようになりました。認知症はなく、ADL(日常生活動作)もしっかりしており、杖こそ使用していましたが自足歩行ができておりましたが、高齢ということで、支援1となっていました。

(注:日常生活に不安がある場合、市役所に相談すると、各地域にある地域包括支援センターを紹介されますので、まずはそちらへとご相談ください。)

ご入居相談の際、ご本人から『今後、財産管理も難しくなってくると思うので、財産管理を司法書士へとお願いしてある』とのお話を伺いました。

当施設への入居をご希望されたため、司法書士へと連絡し、今後の対応について打ち合わせをし、必要なお荷物を整え、ご相談から一ヶ月以内でのご入居となりました。

ご入居後、医師の意見書及び、当施設管理者の意見書を提出、後見人の手続きを開始。裁判所からご本人への申立の確認の面談を経て、ご本人が希望された司法書士が後見人となり、賃貸物件の処分及び財産管理をしていただけることになりました。

【B様 80代離婚歴あり、子供ありの男性】

数十年前に離婚され、お子様とは絶縁。その他ご身内は妹さんのみ。その妹さんも高齢にてご自身のサポートはできないと言われたとのことから、施設へのご入居を希望され、相談に来られました。

現在、認知症はなく、ADLもしっかりしており、独居での生活も十分できそうですが、倦怠感や腕の痛みと一人で生活の全て行うことがご本人曰く難しいとのことから、お早くのご入居希望でしたが、少々課題が多くあり、ご入居前にしなくてはならないことがありました。

先ずは、不動産の処分。築30年未満の物件をどのようにするのか。自己資産の相続についてどのようにするのか、またその管理は誰に委ねるのか。

お独りでのご相談を不安に思われていた為、私同伴の元、司法書士へと相談をいたしました。

相談の結果、先ずは不動産をどのようにするのかの意思確認をしました。

ご本人は売却をご希望とのことから、売却方法について、司法書士の紹介する不動産業者と打ち合わせをし、そのまま売却するか、リフォームしてから売却するのか、更地にしてから売却するのか、を決めました。

その後、ご逝去された後の資産をどうするか。

ご本人様はお子様2人のうち、片方へ相続させたいとのご意思でした。

この場合、遺言状を作成しないと、お子様2人へと平等に相続されてしまうため、遺言状の作成が必要になります。

そして、最後は財産管理です。

通常、老人施設では、財産管理をいたしません。

当施設も例外ではなく、現金などの貴重品は一切お預かりしておりません。

このように、ご身内で財産管理する方がいらっしゃらない場合、先のA様のように、成年後見人(任意・法廷どちらでも構いません)を付けて頂くか、若しくはご本人が管理することになります。

B様は資産管理をご希望でしたので、前者の手続きが必要になります。

任意後見人(注:本人と、本人の判断能力が低下したときに契約内容に従い、本人の財産管理を行う制度)及び法定後見人(注:本人の判断能力が低下してから親族等が家庭裁判所に申し立て、本人をサポートする制度)は優劣があるわけでなく、同等の対応ができますが、法定後見人の場合は、本人の判断力の状況から、補助、補佐、後見と分かれており、B様が望まれる財産管理は後見人の申立をしなくてはなりません。

ここで一つ、問題が起こりました。

財産管理には後見人の申立が必要になりますが、後見人を申立する理由としては、本人は判断能力がないこと前提です。

しかし、不動産の売却や、遺言の作成は、本人の判断力がなければ意思確認ができないため無効となってしまうという矛盾が生じてしまいます。

今回の進め方として、まずは不動産売却の手続きをとり、売却を先行させます。買い手がすぐに見つからないかもしれませんが、そこは司法書士からご紹介頂いた業者なので、お任せすることとし、その後、公正役場にて遺言状作成と承認。

その手続きと同時に施設へのご入居となりました。

上記例だけでなく、皆さんどこから手を付けてよいのか、どこに相談すればよいのかと、悩まれている方が多くいらっしゃいます。

先ずはお住まいの市役所へと連絡し、総合窓口へと相談してください。相談内容によって、担当部署へと電話を取り次いでくれます。(多分、高齢者支援課になると思います)

※写真はこの記事とは全く関係ありません。

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