ペットとのご入居について

トイプードル

当社の裾野の施設は、静岡県の東部でも数か所しかないペット(※1)と入居できる施設です。

近年、独居でペットと暮らしている高齢者は多く、介護施設に入居を希望されてからペットの行き場がなく、困った末に里親探しをしたり、保健所に連れていく例が増えています。

自分は今まで独りで誰も頼らず生活してきた、この子を看取るまでは大丈夫だろうと誰もが思われて、子犬や子猫を迎えると思いますが、近年のペットの寿命は18年も長生きする子もいますので、70歳で迎えたら88歳までお世話をしなくてはなりません。

犬の場合ですと、毎日の散歩(小型犬は必要ないとも言われますが。。。)にトイレシート交換、ご飯の支度(私は手作りです。。。)に年1回の予防接種にトリミング(シャンプーリンス、校門絞りにカット、爪のカットに歯石取り)、7歳過ぎると毎月のように病院通い。。。など、見て可愛いだけでは言い切れないほどの手間暇がかかります。

先日ワンちゃんと一緒にご入居された方は、毎日ワンちゃんとお風呂に入れている、お散歩は毎日朝と夜、2回1時間ずつしていると言われていました。とてもきれいにしているのかなと思いきや、動物臭が酷く、体形は通常の倍近いサイズ(おデブちゃんです)、外耳炎で、50メートルも歩くと息切れして動かなくなってしまうようなワンちゃんでした。

飼い主様が認知症のため、ワンちゃんにご飯を上げたことを忘れてしまい、何度も上げてしまってたり、人間のものを上げたりして太らせてしまったようでした。またお風呂はずいぶん長い間入ってないようでした。

また、認知症の症状の一つである老人性躁鬱からくるのか、イライラしてワンちゃんに当たり散らす姿も見受けられたため、ワンちゃん救済のため、こちらで保護しました。

保護したばかりのワンちゃんは太っていて殆ど動けず、自重で前足を痛めていたのか少しでも触ると唸り、強く嚙みつくため、私の手は血だらけになりました。夜間救急病院にかかり、破傷風の予防接種と抗生剤を数日間服用したこともありました。

人を噛む癖をつけてはいけないと聞き、足を触らなくてはならないときは口輪をはめました。

体形は標準体重の10キロを優に超えた17キロ、躾や運動で無理をさせると関節を痛めてしまう恐れがあったため、先ずは体重を数キロ落とすことから始めました。水をよく飲み、糖尿病、クッシング症候群の疑いもありました。

3週間ほどが過ぎ、寝ている時に体を静かに触っても震えることが無くなり、片手でどうにか抱えられる体重になった時、初めて散歩で小走りに走りました。1キロの道のりを1回も休むことなく、しっぽをフリフリ歩けるようになりました。

家の中では私を後追いするようになり、身体が重くて中々座れずにいたものが、『座れ』の命令で直ぐに座れるようになりました。あれほど触られるのが嫌だった前足を私の膝の上に乗せてくるようになりました。

ボールを見つけると喜んで口に咥え、投げてと言わんばかりに持ってきます。

飼い主様がワンちゃんに沢山の愛情を注いできたことは十分にわかりますが、愛情の表現の仕方を間違ってしまうと、時にはそれは虐待にもなってしまいます。

今、独居でペットを飼う高齢者の方は多くいます。そのうちのほとんどの方は、介護施設へと入居になった際、他のご家族や里親が見つかってから入居されているかと思います。しかし、ほんの数パーセントでも行き場のないペットがいることも事実です。

その子たちはどこに行かなくてはいけないのか、どのような最後を送らなくてはならないのか。

もう一度考えてからペットを迎えてほしいと切に願います。

今私のところには5匹のワンズがおります。5歳を過ぎて引き取った子が3匹です。5匹は私の後追いをし、ほとんどの時間、私と一緒にいます。

迎えるペットは子犬や子猫でなくても、十分に懐いてくれますので、ペットをお迎えする際は少し里親サイトを覗いてみてくださいね。

※1 ペットは基本小型犬まで、猫は要相談になります。また、基本ご入居者様ご本人にお世話して頂きます。吠え癖、噛み癖、排泄に関しての問題行動等ある場合は入居をご遠慮していただく場合があります。その他、面談後判断いたしますが、ご入居者のご希望等に関わらず、ドックトレーニングに通わせていただく場合もございます。

※2  2022年4月23日追記

先日ペットのセラピー効果の記事が掲載されました。こちらの記事も是非ご覧ください。

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